°°ワガママの果て°°
「よし!この子にしよう!間取り持ってやるからさ、とりあえずこの子とメール始めろ」



強引に他の女に目を向けさせようとする先輩は真面目に俺を心配してくれているのがわかる。



俺だって…
他に目を向けられるならそうしたい。
それが出来たらどんなに楽だろうと思う。




どんなに他の女とメールしても話してみても…
求める返信は、反応は丸ごとアイツそのもので、アイツならこう返してくれるのに…こう反応してくれるのに…



そうやって結局アイツが溢れてしまうんだ。





「先輩…俺きっとメールも続かないんで。とりあえず前を向けるまでは紹介とか大丈夫です…」



先輩は携帯をポケットに閉まって
優しい顔で俺を見つめて言った。


「悟。前を向いた方がいい…
同じ繰り返しはもうするな。
それは悟のためにも、園夏ちゃんのためにもな!」



その言葉は力強くて
真っ直ぐ心に突き刺さった。

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