°°ワガママの果て°°
部屋の窓を開けると吹き込んでくる雪は網戸に触れて一瞬で消えていく。

いつもの定位置に座ってタバコに火をつけた。


俺のこの想いも一瞬で消えたらどんなに楽だろう…
嫌いになれたらどんなに楽だろう。



フーっと煙を吐き細めた目に映った街は一面真っ白な雪景色。
まだまだ降り積もっていく雪を見ながらアイツの嫌いなところを心の中に積もらせてみた。




気まぐれで泣き虫…
好きな男はコロコロ変わるし
俺を好きって言ってたくせに他の男と付き合うし…
わたしは良いけど悟くんはダメと何回聞かされた事か…
腹もプニプニしてるし顔もモチみたいだし、なんでなんで?ってしつこいし……
ワガママ…だし…
ワガ…ママ……だし……




「………クッソ…なんでだよ…」



窓をバタンと閉めて引きっぱなしの布団に頭から滑り込んだ。





ワガママ言ってこいよ…
なんでだよ…なんで…
今すぐ来てって…連絡してこいよ…

全部好きなんだよ。
そんなお前が好きなんだよ……




嫌いなところじゃなくて
愛しさと虚しさだけが心に積もっていた。

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