°°ワガママの果て°°
雪で大渋滞していた道をやっと抜け出して、無事家に到着した。
家の裏に車を止めてもらい
そこで母とわたしは車から降りる。




父はまだ仕事が忙しいらしく
イライラとした様子で
”夕食までには帰る”と言い残し再び車を勢いよく発車させ会社に戻っていった。





父を見送る母の顔は寂しいとはまた
違った切ない表情で…わたしはその表情を幼い頃からずっと知っている気がする…




「お母さん!寒いから早く家の中に入ろうよ!」



明るく言い放ち、母の荷物を全て持ち上げ裏口のドアの鍵をあけた。





「園夏…お母さん久しぶりに車に乗ったり外に出て疲れちゃったみたい。少し休むわね」




「うん!その間に夕食の準備するから、ゆっくり休んで!」




料理なんてきちんとした事がなかったけど、やってみたら意外とスラスラ出来る自分に驚きながら、
順調に楽しく調理を進めていた。



♪♪♪~


その時…
ふとテレビから聞こえてきたメロディに歌に食材を切る手が止まった。


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