°°ワガママの果て°°
冷たい雪の中に立ち尽くすわたしは、
寒さなんて忘れたみたいに携帯電話をじっと見つめている。




1分2分3分………
不安が募っていく。
あんな終わらせ方だった…
返事なんて返ってこないかもしれない。




でも…


"お願い返して"




祈るように携帯電話を握りしめた。









♪♪♪~

手の中で鳴り響いたあのメロディが心拍数を上げる。


一瞬の間もなく受信メールを開いた。










”いいよ。今から行く”




その一行で、一言で
会いたい気持ちはさらに加速する。
悟くんへ向かって早まる気持ち。





”屋根付きベンチのある公園で待ってる♡”




会いたかったよ。
会いたかった……
離れようとした。
でもやっぱり求めてしまった。


本当はずっとずっと
会いたかったよ悟くん…
伝えたくて走り出す。



さっきまでのわたしなんてどこかに
置いてきてしまったみたいに一瞬で温かくなった心の奥。





まだこの時は知らなかった。
この温かな気持ちが長く続かない事を…
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