怨ーline
 門のタイルを壊した時は見物だった。
端が割れた程度だったんだけど……
オカンが見つけ、血相変えて辺りを見回した。


『誰が此処を通らなかった?』
って近所にいた子に聞いたら、あの娘が自転車で通ったと判明したんだ。


『アンタん家の子が家の門のタイルを壊した!!』
って怒鳴り込んだよ。
犯人は私なのにさ……
結局修理代金せしめていたよ。


『アンタの奥さんを何とかしろ。子供が悪いって言っても認めもしない』
って、あの娘の父親相手にも吠えていたよ。




 川に靴を投げた時、皆私が遣ったと報告してた。

でも、オバサンは子供を抱き締めたんだ。


『良かった。生きていて良かった。靴なんかどうでもいい。良く靴の後を追い掛けなかったね。偉い……』

そう言いながら、泣いていた。

あの時は少しは感動したよ。

でも、その後で家のオカンは『皆家の子供がやったって言ってるみたいだけど、家の子供は違うって言ってる。家の子供は嘘を付くような子供じゃないから、今度こんなこと言い触らしたらたたじゃおかないよ』

って啖呵を切ってた。

この母がいて、この子ありか?

つくづくそう思ったよ。




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