怨ーline
 携帯を盗んでやったオッサンには恨みがある。
それは私が小学4年生の春だった。


通学路を歩いている内に前にいる子の帽子が妬ましくなった。

私が欲しくて親にねだった帽子と同じだったんだ。


でも親は買ってくれなかったんだ。
家の親は何時もそうだ。
どんなにねだっても聞く耳なんか持ってくれないんだ。


私がこんな思いをしたのは全部コイツが帽子を被ってきたせいだ。
そう思った。


だから頭に来たから川に放り投げてやったんだよ。




 その時下にオッサンがいて、帽子を拾い上げると私を職員室に連れて行った。


勿論私はシラを切った。


「この子がチョロチョロして危なっかしいから、手を引いてあげただけだ。それともこの子が事故にあった方が良かったの?」
そう言ってしらばっくれた。


そのうちに親まで呼び付けられた。
私は同じことを平然と言い張った。


「家の娘がそんなこと遣る訳ないでしょう? なんでいいこと遣ったに認めてやれないの」

親も詰め寄った。


そのお陰でオッサンも校長のヤツも私の目の前で土下座させられたよ。


イイキミだ。




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