君物語~恋は嵐のようにすぎる~
ところ変わって公園。
「ねぇ、総悟。やっぱり怒ってるよね?」
ベンチに並んで座ってる。
総悟は、頭の後ろで手を組んでる。
私は、普通に座ってるけど。
「何がでィ。」
「何がって………」
「自分でも分かってねぇのか。お前、変わったな。」
そう言ってベンチから、立つ。
「………総悟…」
私が、変わった…?
私は、なにも変わってないよ。
「ねぇ、総悟………総悟…も変わっ……たよ?」
少し俯いて話す。
「…へぇ。俺が変わったっていうなら、俺の顔みて言いなせェ。」
顔をあげる音衣香。
しかし、同じ事は言えなかった。
「言えねぇじゃねぇーですか。俺は、何にも変わってなんかねぇよ。」
それは、冷たくいい放たれた言葉。
総悟は、そのまま公園を後にした。
その場に残った音衣香は、1人たたずんで、考えこんだ。
少し、考えてから空を見上げた。
夕暮れだ。もうそんな時間になったのだろうか。
ふっと、彼の姿が脳裏に蘇った。
『お前、変わったな。』
言葉が響いた。
涙が溢れんばかりに流れ出てきた。
「そう……ご…」
小さく呟いた彼女の声は、遠い空の彼方に消えて行った。