「異世界ファンタジーで15+1のお題」四
006:聖女
「ここは……?
あなたはこんな所で何をなさってるんですか?」
「お願いです、シスター。
おかしなことは決してしません、僕を信じて下さい。
みつかっては大変ですから、詳しい話は中で聞いて下さい。
あ、足元に気をつけて下さい。」
シスターが逃げられないようにするためなのか、キルシュはシスターを先に歩かせた。
「まぁ…これは…!!」
若いシスターは、横たわる瀕死のロジャーを見て口許を押さえた。
「シスター、よく来て下さいました。
感謝致します。
私は兵士長のギリアス……実は、つい先程まで地下牢に投獄されていました。
そして、この者達は私の部下達です。
皆、同じように投獄されていました。」
「それでは、あなた方は…!!」
「その通りです。
……ですが、私達は間違ったことをしたとは思っていません。
間違っているのは大臣の方です。
この者は、牢で恐ろしい拷問に遭い、この有様に…
私には彼を救う手だてがみつからず、シスターのお力をお借りしたく…」
ギリアスの話す間にシスターは周りを見まわし、ライアンを指差した。
「あなた、そして…キルシュさん。
私に着いて来て下さい。」
そう言って、外に向かおうとしたシスターの肩をギリアスが掴む。
「シスター、何をなさるおつもりです!?」
シスターは振り向き、真っ直ぐにギリアスの瞳を見据えて言い放った。
「急がなければなりません。
この方を救うにはゆっくりはしていられないのです。
ギリアスさん、私を信じて下さい。」
ギリアスはしばらくシスターの瞳をみつめ、やがて静かに手を離す。
「……わかりました。
シスター、どうぞよろしくお願いします!」
ギリアスはシスターに深深と頭を下げると、ライアンに向かって頷いた。
「ライアン、キルシュ、どうか、頼んだぞ!」
*
「ギリアスさん、本当に大丈夫なんですか!?
シスターのことを信じてしまって…
もしも、あのシスターが、なにか良からぬことを考えていたら…キルシュとライアンではひとたまりもありません。」
「セス…彼女の目に嘘はなかった…
私の勘を信じてくれ。」
「しかし……」
他の兵士は、異を唱えなかった。
それほどギリアスを信頼していることに、セスは少なからず驚いた。
(これが兵士ってものなのか…)
あなたはこんな所で何をなさってるんですか?」
「お願いです、シスター。
おかしなことは決してしません、僕を信じて下さい。
みつかっては大変ですから、詳しい話は中で聞いて下さい。
あ、足元に気をつけて下さい。」
シスターが逃げられないようにするためなのか、キルシュはシスターを先に歩かせた。
「まぁ…これは…!!」
若いシスターは、横たわる瀕死のロジャーを見て口許を押さえた。
「シスター、よく来て下さいました。
感謝致します。
私は兵士長のギリアス……実は、つい先程まで地下牢に投獄されていました。
そして、この者達は私の部下達です。
皆、同じように投獄されていました。」
「それでは、あなた方は…!!」
「その通りです。
……ですが、私達は間違ったことをしたとは思っていません。
間違っているのは大臣の方です。
この者は、牢で恐ろしい拷問に遭い、この有様に…
私には彼を救う手だてがみつからず、シスターのお力をお借りしたく…」
ギリアスの話す間にシスターは周りを見まわし、ライアンを指差した。
「あなた、そして…キルシュさん。
私に着いて来て下さい。」
そう言って、外に向かおうとしたシスターの肩をギリアスが掴む。
「シスター、何をなさるおつもりです!?」
シスターは振り向き、真っ直ぐにギリアスの瞳を見据えて言い放った。
「急がなければなりません。
この方を救うにはゆっくりはしていられないのです。
ギリアスさん、私を信じて下さい。」
ギリアスはしばらくシスターの瞳をみつめ、やがて静かに手を離す。
「……わかりました。
シスター、どうぞよろしくお願いします!」
ギリアスはシスターに深深と頭を下げると、ライアンに向かって頷いた。
「ライアン、キルシュ、どうか、頼んだぞ!」
*
「ギリアスさん、本当に大丈夫なんですか!?
シスターのことを信じてしまって…
もしも、あのシスターが、なにか良からぬことを考えていたら…キルシュとライアンではひとたまりもありません。」
「セス…彼女の目に嘘はなかった…
私の勘を信じてくれ。」
「しかし……」
他の兵士は、異を唱えなかった。
それほどギリアスを信頼していることに、セスは少なからず驚いた。
(これが兵士ってものなのか…)