「異世界ファンタジーで15+1のお題」四
「ですが、シスター・シャーリーは、舞踏会のことなども知っていましたし、そこで次期国王に大臣を指名させることも…」

ライアンの言葉に、ギリアスは少し大袈裟に笑って見せた。



「良いか、ライアン…舞踏会には各国から大勢の客を招くのだぞ。
そのための様々な準備がすでに始まっている筈だ。
そういう所から、噂はすぐに流れ出す。
それに、次期国王に大臣を指名をさせるつもりではないかというのは、あくまでも、シスター・シャーリーの推測でしかない。
大臣の野心を知る者なら、シスター・シャーリーでなくとも考えつくことではないか?
考えてもみろよ。
いくら国王のためとはいえ、あの若くて真面目なシスター・シャーリーにそこまで思いきったことは出来ると思うか?
そんなことをしてしまったら、きっと潔癖な彼女は修道服を着ることさえ出来ないだろう…」

ギリアスは、自分の本心をひた隠し、極めて冷静な声で論理的に話した。
それは、もちろん、なんとしてもシスター・シャーリーの秘密を隠し通そうという気持ちからだった。



「……そうか…そうですよね。
彼女はしっかりしててもまだ18だ。
そこまで辛い事が出来るはずがない。」

そう言って頷くライアンの顔からは不安な影が消えていた。



「その通りだ。
だが、彼女は自分の気持ちを曲げて大臣に忠誠を誓うふりをしてくれた。
そのこともきっと辛かったと思うぞ。」

「そうだよなぁ…
俺だったら絶対無理だ!
あんな奴に忠誠を誓うなんて、ふりだけでもきっと出来ないな。」

ケネスは不快そうに顔をしかめ、何度も首を振る。



「そうだろう?
彼女はそういういやなことを我慢して頑張っているんだ。
だから、つまらない噂に振りまわされるな。
……とはいえ、彼女には気の毒だがそんな噂が広まっているのなら、それは私達にとっては好都合だ。
大臣を手を組んでる者が、まさか我々みたいな者と通じてるとは思われないだろうからな。」

男達はギリアスの言葉に頷いた。



「だが、シスター・シャーリーにはこんなうわさのことは言うなよ。
聞いて気持ちの良い話ではないからな。」

「もちろんですよ!」

「言いませんよ、絶対に!」

男達の表情を見て、ギリアスはほっと胸を撫で下ろした。
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