「異世界ファンタジーで15+1のお題」四
*
「あのままでは国王のお体はもちませんよ。
これでもう三日も何も口にされていないのですから…」
大臣の隣で、シスター・シャーリーは感情を持たない声でそう囁いた。
「……しかし、おまえと二人っきりになれば、本当に国王は何事かを懺悔するとでも言うのか?」
「それは間違いありません。
国王は、いつもなにかを言いたげな顔をされるのですが、あの兵士達を見て、口をつぐんでしまわれるのです。」
「兵士達はそんなことは言っていなかったが…」
シスター・シャーリーは、その言葉に苦い笑いを浮かべた。
「こう言っては失礼ですが、あの方達は力はありそうですが、細やかな神経は持ち合わせてはいらっしゃらないように感じられます。
国王のあんな様子にも気付かれないなんて、どうかしてますわ。
それに、私と国王が二人っきりになったとしても、国王に何か出来るとお思いですか?
扉の外には屈強な兵士がいるのですよ。」
「たとえば、おまえを人質にして、ここから出せと言ったらどうする?」
「今の国王にはそのような気力は残ってらっしゃらないと思います。
力も弱ってらっしゃるし、私はあのような方にそんなことをされる程間抜けではありません。」
「……たいした自信だな。
しかし、そういう自信が命取りになることだってあるのだぞ。
決して気を許すな…」
「では……」
大臣はゆっくりと頷いた。
「おまえは、これまでもしっかりと仕事をこなして来た。
だから、今度もしっかりとやりとげるのだ。
……わかっているな?」
「もちろんです!
国王が何を考えているのか、必ず聞き出してみせます!
……それにしても、大臣様…
なぜ、国王を生かしておこうとされるのですか?
あんな者、いっそ死んでしまった方がてっとり早いのでは…」
大臣は、シスター・シャーリーの顔を見て、おかしそうにくすくすと笑った。
「おまえはまだ若いからそのような短絡的な考えしか出来んのじゃ。
まずは、皆の前で国王じきじきに指名された方が印象が良いだろう。
今でもあんな者を支持する者達がおる。
そんな奴らも、国王がじきじきにわしを指名したとなるともう何も言えまい。
それと……わしには取り損ねたものが…」
「取り損ねたもの…?」
「いや、なんでもない。
とにかく、国王には今しばらく生きてもらっていた方が都合の良いことがあるということだ。
……しかし、おまえもすっかり変わったな…
国王のことをあんな者呼ばわりとは…
それに、自分の方からわしの寝室にやって来るとは…いつからそんな淫らな女になったのだろうな…」
「それだけ大臣様が魅力的だということです…」
込み上げる悪寒を微笑みに変えて、シスター・シャーリーは、大臣の胸にそっとしなだれかかった。
「あのままでは国王のお体はもちませんよ。
これでもう三日も何も口にされていないのですから…」
大臣の隣で、シスター・シャーリーは感情を持たない声でそう囁いた。
「……しかし、おまえと二人っきりになれば、本当に国王は何事かを懺悔するとでも言うのか?」
「それは間違いありません。
国王は、いつもなにかを言いたげな顔をされるのですが、あの兵士達を見て、口をつぐんでしまわれるのです。」
「兵士達はそんなことは言っていなかったが…」
シスター・シャーリーは、その言葉に苦い笑いを浮かべた。
「こう言っては失礼ですが、あの方達は力はありそうですが、細やかな神経は持ち合わせてはいらっしゃらないように感じられます。
国王のあんな様子にも気付かれないなんて、どうかしてますわ。
それに、私と国王が二人っきりになったとしても、国王に何か出来るとお思いですか?
扉の外には屈強な兵士がいるのですよ。」
「たとえば、おまえを人質にして、ここから出せと言ったらどうする?」
「今の国王にはそのような気力は残ってらっしゃらないと思います。
力も弱ってらっしゃるし、私はあのような方にそんなことをされる程間抜けではありません。」
「……たいした自信だな。
しかし、そういう自信が命取りになることだってあるのだぞ。
決して気を許すな…」
「では……」
大臣はゆっくりと頷いた。
「おまえは、これまでもしっかりと仕事をこなして来た。
だから、今度もしっかりとやりとげるのだ。
……わかっているな?」
「もちろんです!
国王が何を考えているのか、必ず聞き出してみせます!
……それにしても、大臣様…
なぜ、国王を生かしておこうとされるのですか?
あんな者、いっそ死んでしまった方がてっとり早いのでは…」
大臣は、シスター・シャーリーの顔を見て、おかしそうにくすくすと笑った。
「おまえはまだ若いからそのような短絡的な考えしか出来んのじゃ。
まずは、皆の前で国王じきじきに指名された方が印象が良いだろう。
今でもあんな者を支持する者達がおる。
そんな奴らも、国王がじきじきにわしを指名したとなるともう何も言えまい。
それと……わしには取り損ねたものが…」
「取り損ねたもの…?」
「いや、なんでもない。
とにかく、国王には今しばらく生きてもらっていた方が都合の良いことがあるということだ。
……しかし、おまえもすっかり変わったな…
国王のことをあんな者呼ばわりとは…
それに、自分の方からわしの寝室にやって来るとは…いつからそんな淫らな女になったのだろうな…」
「それだけ大臣様が魅力的だということです…」
込み上げる悪寒を微笑みに変えて、シスター・シャーリーは、大臣の胸にそっとしなだれかかった。