「異世界ファンタジーで15+1のお題」四
「おまえ達には本当に世話をかけるな…
あの若いシスター・シャーリーまでが私のために動いていてくれたとは…考えてもみなかった…
……私は実は半信半疑だったのだ。
いや……おそらく、彼女の言うことは罠だろうと考えていた。
私のために働いていてくれたのに、彼女のことを信じてやれず…本当に申し訳ないことをした…」

「いえ…それは当然のことです。
陛下が気に病まれるようなことではありません。」

ギリアスの気遣いに、ラーシェルはゆっくりと頷く。



「……ところで、明日の舞踏会には誰が招かれているかを知ることは出来るか?」

ギリアスと兵士達は、困った顔を見合わせる。



「……そうか…」

男達の様子を見て、ラーシェルは期待出来ないことを悟った。




「陛下、もしかしたら、シスター・シャーリーなら、何かご存知かもしれません。」

「そうか…そうだな!彼女ならあるいは…
陛下、招待客のどなたかに助けを求められるおつもりなのですか?」

ジョーイの言葉に、ギリアスの表情が明るくなった。



「いや…そうではない。
そうではないのだが……そなた、クートゥーのターニャを知っているか?」

「ターニャ様というと、あの事件の時に来られた魔術師の…はい、存じております。
そういえば、あの方は確か…」

ギリアスの視線が、ケネスの所で停まった。



「はい、俺はターニャ様が来られた時、警護をしておりましたから、お顔は存じております。
言葉を交わしたこと等はございませんが…」

「そうか…私はどうしてもターニャと話したいことがあるのだ。」

「ターニャ様に…
明日は各国の方々がお集まりになりますが、ターニャ様は来られはしないのではないでしょうか?
あの方は、あまり公の場に…まして舞踏会のような華やいだ場所には出られないように思いますが…」

言いにくそうに話すギリアスに、ラーシェルはゆっくりと頷いた。
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