「異世界ファンタジーで15+1のお題」四
(笛の音…!!……これがロジェ爺さんの言ってた笛の音だな!)
いつの間にか、空は白みかけていた。
セスは立ち上がると、じっと目を閉じ、耳を澄ませて音の方角を確かめる。
(こっちだ…!)
セスは、神経を笛の音に集中させながら、森の中をゆっくりと歩いて行く…
空の色は白から薄い紅の色に変わり始めていたが、進むに連れ、白い霧がセスの身体に纏わり付くように濃くなっていく…
(おかしいな…霧が出るような天気じゃないのに…)
セスは、訝しげに空を仰ぐ。
笛の音は、なおも続いていた。
音のする方へ近付いている筈なのに、音量は少しも大きくならない。
そのことに戸惑い、立ち止まり、セスは再び耳を澄ます…
間違いない…やはりこっちだとの確信を深め、また歩き出すが、その音はやはり近くはならなかった。
(一体、どうなってるんだ?なぜ、笛の音に近付けないんだ?
……それに、この森はこんなに広い筈がない。
もう抜けても良い頃だ。なのに…なぜ?)
セスの疑問は増え続け、いやな胸騒ぎを感じ始めていた。
霧はますます濃さを増し、すでに足元さえもよく見えない程になっていた。
セスは、この深い霧のせいで迷ったのかとも考えたが、そもそもがそれ程広い森ではないのだ。
大きな脇道もないほぼ一本道のこの森で、迷う方がおかしいということにセスは気付いていた。
ロジェが「冷たい音」だと評した笛の音は、セスにはとても不気味なものに感じられた。
今にもこの場所から逃げ出したくなる衝動をどうにか抑えられたのは、フォルテュナを助けたい!…ただ、偏にその想いがあるからだった。
いつの間にか、空は白みかけていた。
セスは立ち上がると、じっと目を閉じ、耳を澄ませて音の方角を確かめる。
(こっちだ…!)
セスは、神経を笛の音に集中させながら、森の中をゆっくりと歩いて行く…
空の色は白から薄い紅の色に変わり始めていたが、進むに連れ、白い霧がセスの身体に纏わり付くように濃くなっていく…
(おかしいな…霧が出るような天気じゃないのに…)
セスは、訝しげに空を仰ぐ。
笛の音は、なおも続いていた。
音のする方へ近付いている筈なのに、音量は少しも大きくならない。
そのことに戸惑い、立ち止まり、セスは再び耳を澄ます…
間違いない…やはりこっちだとの確信を深め、また歩き出すが、その音はやはり近くはならなかった。
(一体、どうなってるんだ?なぜ、笛の音に近付けないんだ?
……それに、この森はこんなに広い筈がない。
もう抜けても良い頃だ。なのに…なぜ?)
セスの疑問は増え続け、いやな胸騒ぎを感じ始めていた。
霧はますます濃さを増し、すでに足元さえもよく見えない程になっていた。
セスは、この深い霧のせいで迷ったのかとも考えたが、そもそもがそれ程広い森ではないのだ。
大きな脇道もないほぼ一本道のこの森で、迷う方がおかしいということにセスは気付いていた。
ロジェが「冷たい音」だと評した笛の音は、セスにはとても不気味なものに感じられた。
今にもこの場所から逃げ出したくなる衝動をどうにか抑えられたのは、フォルテュナを助けたい!…ただ、偏にその想いがあるからだった。