「異世界ファンタジーで15+1のお題」四





「ターニャ!」

「シスター・シャーリー、なぜここに!?」

三人が部屋に入ると、そこにいた各々が驚きの声を上げた。



「ラーシェル様、おひさしぶりです。
……ずいぶんとおやつれになって…」

「そうか…これでも、ついさっき湯浴みし、髭をあたってもらい、ずいぶんマシになったと思っていたのだがな…」

そう言って力なく微笑むラーシェルに、ターニャは困ったような微笑を返した。



「……とにかく、ご無事でなによりです。
まず…このところの出来事を話していただけませんか?」

「ターニャ様、それなら私が。」

ラーシェルの体調を気遣ったギリアスが名乗りをあげ、簡単に近況を話して聞かせた。



「……そうだったんですか…」

「まだいろいろとお話したいこともお聞きしたいことも山程ありますが、なんせ、時間がありません。
簡潔に話させていただくことをお許し下さい。
陛下がいなくなられた事を知れば、大臣は明日きっと自分が国王になると言い出すことでしょう。
私達はなんとかそれを阻止したいのですが、陛下にはなにか別のお考えがあられるそうで…
陛下はあなたとお話されることを切望なさっており、それで、セスがなんとか舞踏会に潜りこんでクートゥーのどなたかに連絡を取る計画を立てたのです。
しかし、そのあなたがなぜここに…」

「私は、この国の異変を知り、なんとかラーシェル様のお力になりたいと思って、我が国王に願い入れました。
皆様もご存知の通り、我が国とこちらとは古くから仲良くさせていただいております。
この度のことで、当然、国王はラーシェル様のことを気にかけており、私の申し出を快く聞きいれて下さったのです。
この城に近付くごとに感じる禍禍しき妖気……
ラーシェル様…あの大臣は人間ではありません。」

ターニャの言葉に、そこにいた者達は一様に言葉を失った。




「あの者は……
ラーシェル様、この先の話は二人で…」

「……いや…この者達にも聞いてもらいたい。」

「しかし……」

「ルシアンのことを気遣ってくれているのだな?
良いのだ、ターニャ……それも含め、すべてを話してくれ。」

ラーシェルの真っ直ぐな瞳を見て、ターニャはゆっくりと頷いた。
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