先輩とアタシ


パジャマ姿の尋佳。


「良いけど‥‥」


時間はもう、12時を回っている。


時計を気にするオレに、


「少しで良いの。」


と、絶対に話をしたいようだ。


「明日寝坊しても知らねえぞ?」


尋佳を部屋に招き入れた。


「お兄ちゃんもね?」


「んで、何?」


少し困ったように尋佳は口を開いた。


「小夜のことなんだけどさ?」


意外な展開。


尋佳の方から、小夜の話を切り出してくるのは珍しい。



「小夜がどうした?」



「今日お兄ちゃんと女の人のこと見て、泣いてたよ。」


泣いてた‥‥‥。


やっぱり泣いてたのか。


「あれは‥。」


誤解を解こうとすると、


「分かってるよ、好きであーなってる訳じゃないことくらい。
小夜だって分かってるよ。」


「でも泣いてたんだろ?オレが誤解させて、アイツを傷つけた。」


そうなんだ。


オレがアイツを泣かせた。


「小夜は、お兄ちゃんのことが好きだから、大好きだから不安になってるんだよ。そこも分かってあげて。
それと‥‥司くんに渡しちゃだめだよ!」


司に渡しちゃだめ。


「お前知ってたの?」


「バレバレだったじゃん。まぁ、早く仲直りしちゃいなよ?おやすみ。」


やっぱり司は本気なんだな。


妹の優しさに感謝しつつ、オレは明日早く小夜に会って謝りたいと思った。


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