先輩とアタシ
アイツ泣いてるよな‥?
今すぐに抱きしめてぇよ‥。
体育館に繋がる曲がり角を、全速力で曲がると、
ドンッ
「うわっ!すみません、急いでて‥‥小夜‥」
曲がり角のすぐそこに立っていたのだろう。
オレにぶつかってしりもちをついたみたいだ。
麦茶もナンバーも散らかってしまった。
『ふぇっく‥‥‥ひぃーん』
案の定涙で濡れた顔。
「ごめんな小夜‥‥ごめんな?」
たくさんの意味のごめんを込めて小夜を抱きしめた。
『せんっ‥‥‥せんぱいぃ‥‥』
小夜の声‥久しぶりに聞いたような気がする。
昨日の帰りには聞いたのに。
「ごめんな‥お前に嫌な思いさせて‥。」
本当にごめん。
ちゃんと伝わってる?
オレの腕の中にすっぽり収まっている小さな彼女は、一生懸命に泣いている。
強く抱きしめたら、壊れてしまうんじゃないか?
泣きながら、話す小夜。
『アタシッ‥‥先輩のこと‥‥好きだから‥』
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