先輩とアタシ


尋佳の助け舟が入った。


一緒に帰る約束なんてしてなかったけど、


「ほら行くよ!」


と言ってアタシの腕を引っ張った尋佳。


『あ‥うん?司くんバイバイ。』


尋佳はたぶん、アタシが困ってたから助けてくれたんだ。



「小夜って本当危なっかしいね‥‥。」


玄関を出るとアタシの手を離して、呆れ口調で尋佳が言った。


『ありがとう。助かった!』


「司くんが、小夜のことを好きだってことには気づいてる?」


尋佳がいきなり訳の分からないことを言い始めた。


司くんがアタシを好き?


『尋佳、何言ってんの。ありえないでしょ!?』

あははと、笑っていると、


「ダメだ‥‥鈍感すぎる。」


と、さらに呆れている。


司くんがアタシを好きだなんて、あり得ないよね‥?



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