先輩とアタシ
「うちらの前でかなり優しいし、良い人じゃん?だから、信じられないけどね。兄さんいっつも苦しんでるし。」
『ありえないって!なんで付き合ってるの?』
そんなことされても、大輔先輩は美鈴先輩が好きなの?
そんなに美鈴先輩が大好きなの?
「兄さんもね?何回も別れ切り出してるんだけど、そのたびに泣いて、もうしない、あたしが好きなのは大輔だけだよ。とかって謝られて、許しちゃうんだって。」
何も言えないアタシに、尋佳が続けた。
「ほら、この前あたし美鈴先輩に、お兄ちゃんとのこと聞いたじゃん?あれも、なんか試しに聞いてみたって感じなんだよね。そしたら、あたしは一途なのよっ!みたいな事言ってたし?本当美鈴先輩って分かんない!!」
悔しそうな尋佳に、アタシは、なんて言ったら良いか分からず、出て来た言葉は、
『‥‥‥‥そ‥‥か。』
だけ。
アタシには、重すぎる真実だった。
優しくて、美人でパーフェクトだと思っていた美鈴先輩が、そんな人だったなんて‥‥‥。
大輔先輩を傷つけてるなんて‥‥。
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