シャボンの中の天使
父は、わたしを責めようともせず、ただ、そうか、と呟いて、望の頭を撫でた。
「シャボン玉がいいの!友達もみんなやってるもん」
目を擦りながら、望は、言った。
「じゃあ、おじいちゃんとしようか、シャボン玉。ママは、少し疲れているから、休ませてあげよう。な?」
大好きな祖父の提案に、望は、しゃくりながらも、大きく頷く。
「朝子(あさこ)は、寝室で休んでいなさい。望は、俺が見とくよ」
父はわたしを見て、微笑んだ。
わたしは、素直に、父に甘えることにした。
「ありがと。お父さん」
わたしは、部屋の中に入り、寝室の扉を開けた。