シャボンの中の天使
「生まれてくるのが、待ち遠しいわね」
わたしが笑うと、夫もおんなじように、微笑んだ。
人懐っこい、夫の笑顔が大好きだった。
わたしが高校時代、よく通ったカラオケで、アルバイトをしていたのが、夫、直哉なのだ。
そのころから、笑顔が素敵なひとだな、と思っていた。
しばらくして、デートに誘われて……、
正式に恋人になった。
たいして、大きな喧嘩もすることもなく、
わたしが短大を卒業するとすぐ、
結婚した。
あれから、五年。
ひとりの娘に恵まれ、
今お腹には、もうひとり、子供がいる。
「じゃあ、そろそろ、寝るか」
「そうね。明日は、うん、とおいしいお弁当を作らないといけないし」
おやすみ
おやすみ
わたしたちは、そう言って、布団のなかに、潜った。