シャボンの中の天使
「ママ~!お腹すいた!」
元気一杯の望の声が寝室の外から響く。
「ちょっと待ってね」
わたしは自然と溢れていた涙をティッシュペーパーで拭いて、部屋を出た。
寝室の扉のすぐそばに、望が立っていた。
わたしの顔を見るなり、顔を強張らせ、その小さな体に、緊張を溜め込んだ。
「あ……あの……ね……」
おずおずと口を開く。
「ママ……バカって言ってごめんなさい……」
ペコんと頭を下げた望。
もともと小柄なその体が、ますます小さく見える。
「望。顔をあげなさい」
望はおずおずと頭を上げる。