シャボンの中の天使
「もう言いませんか?」
不安に揺れる望の瞳をまっすぐ見ながら、そう問いかける。
わたしがいつも大切にしていること。
葉菜に話すときでも、望に話すときでも、ちゃんと瞳を見て話すようにしてきた。
「……はい。言いません」
「わかった。ママも一緒に遊んであげなくて、ごめんね」
わたしは微笑んで、望の頭を撫でた。
「ママ……」
望は、目尻を細めて、少し照れたように笑った。
その笑いかたは、葉菜にそっくりだな、って思った。