シャボンの中の天使
「ママ、あのね。僕にお姉ちゃんいるの?」
ちょうど、父とわたしと望で、お昼ご飯を食べていたときだった。
聞き間違いか、と思って、望を見た。
「望……?」
「僕にお姉ちゃんいるの?」
聞き間違いではなかった。
チャーハンが乗ったままの、スプーンを皿の上に置いた。
「望。どうしたの?急に。お姉ちゃんの話だなんて」
わたしは望に、葉菜のことを話したことない。
「もしかして、お父さん、葉菜のこと話した?」
父はわたしとおんなじように、不思議な顔をしたまま、首を横に振った。
「え、じゃあ、向こうのお義母さんかしら」
この近所には葉菜を知っている人なんていないし……。
合点がいかない顔でわたしと父が見つめあっていると、望は無邪気に言った。
「だってね。さっき、葉菜ちゃんって言う子に話しかけられたもん」
はい?
望、今なんて言いました?