シャボンの中の天使
望は勝ち誇ったように、笑った。
わたしは頭を抱えた。
三歳の息子から、よもや、死んだひとが星になるなんて嘘だと言われるなんて、思っていなかったから。
「望、あんたはいつのまに、そんな理論的になっちゃったのよ?」
わたしは、今まで、理論ではなく感性で生きてきたのだ。
数学や理科は、からきし、駄目な質だった。
なのに、こんな理論的なこと言われても困る。
「仕方ないさ、朝子。望は俺の孫だから」
横から口を挟む父。
そうだ。今でこそ父は定年してずっと、家にいるけど、もともとは理科の教師だった。
どうやら、わたしには父と同じ理科好きという遺伝子には恵まれなかったようだ。
「ねぇ、じいじ、“死ぬ”ってどういうことなの?」
わたしは当てにならないのか、
望は父に向き合った。
父は熱々のお茶をすすぎながら、のんびりと言った。
「せっかくの機会だから、みんなで考えようか。
ひとは、どうして死ぬのか、
死んだらどこへいくのか……」