シャボンの中の天使


「何で……シャボン玉……」


涙が溢れた。


葉菜が亡くなってから、一度もシャボン玉なんて見なかったのに。


わたしがシャボン玉を見れないこと、父は知っているはずなのに。


「ママ!よく聞いて!シャボン玉の声を━━━」


意味不明な発言をする望に、叱るかのように、声をあげた。


「馬鹿いわないの。シャボン玉に声なんて……」


そのときだった。

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