シャボンの中の天使


「わーじいじのシャボン玉おっきい!」


望が父のシャボン玉を見て手を叩く。


父の元から放れ、頼りなくフワフワと漂い始めたシャボン玉……


それを追いかけて、望が駆け出した。


少し伸びた望の髪が揺れる。


「ママ!きれいだよ!こっから見ると」


望がこっちを向いて笑う。


望に手招きされて、わたしはその側にいった。


屈んで、望とおなじ視線に立つと……

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