シャボンの中の天使


空一面シャボン玉だった。


涙の雫を拭う。


「葉菜……直哉……」


無意識のうちに零れた声。
返事をするかのように、春風が吹く。


あの子はシャボン玉が大好きだった。
あの子の笑顔を見るのが、わたしも夫も大好きだった。


シャボン玉に囲まれた、わたしの天使。

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