シャボンの中の天使
「みんな、笑ってるよ」
「望。前、葉菜ちゃんに話し掛けられたって言ってたよね?」
涙をなんとか乾かし、空を見上げたまんまの望に聞く。
「言ったよ」
「今も葉菜ちゃんの声聞こえる?」
「聞こえる」
子供は時々不思議なことを言う。
前までそんなこと、信じてなかった。
子供の戯言だと思ってた。
「葉菜ちゃん何て言ってる?」
でももしかしたら、本当に聞こえるのかもしれない。
だって、
わたしが、見えているものが全てじゃない。
わたしが、聞こえているのが全てじゃない。
だから、もしかしたら、わたしには見えない姿が、わたしには聞こえない声があるのかもしれない。
「あのね……今葉菜ちゃんね……」