イージーラブじゃ愛せない
「ビックリした。ファミレスで待ち合わせじゃなかったの?」
「もしかしたら、そろそろかなーと思って駅覗きにきた。バッチリだったね~」
へらっと笑いながら近付いてくるジョージの髪と肩にまとわり付いてる白い雪。
バカだ。何がタイミングバッチリだ。本当はずっと待ってた?それともチョコチョコ覗きに来てた?
冷たい雪を髪に乗っけたまま私の顔を覗き込み
「おかえり。楽しかった?」
あったかい声で言って、ジョージは嬉しそうに笑った。
「……楽しかったよ。ただいま」
ジョージの髪の雪をそっと払いながら、私はそのまま両手でヤツの頬を包んだ。
冷たくなってしまった頬を暖めるように包んで。
そのまま、キスをした。
クリスマスの駅前でこんな事してるなんて、ものすごく馬鹿な女に見えるだろうな。
けれど後悔は無い。
私から唇を重ねた事に、ジョージは少しだけ驚いた顔をしたものの、その目許はすぐに柔らかく細められた。
温かくて心地のいい包容。優しく何度も重ねられるキス。
私を待っていてくれた『おかえり』は、ちょっと困ってしまうくらい胸に嬉しく響いて。
それは、人目を気にしてられないくらい私を馬鹿で甘ったれな女に変えてしまった。