イージーラブじゃ愛せない
「でも、(1)の内容はそんなに難しくないから。新人研修でやった事のおさらいだよ」
鞄にレジュメをしまいながら優吾がゆるく微笑んで言う。なんか余裕だな。
ライバルとしては負けたくないけど、正直俺には強がりすら言える余裕もないよ。
「4月と6月に店舗研修が3日ずつ、んで9月に総合研修が2日あって、最終日に試験か。なげーなあ」
俺も自分のレジュメをクリアファイルに挟んで鞄に押し込める。こんなもん見ながら飯食ってたら消化に悪そう。
「あ、でも総合研修で他の店舗の同期生と再会できるんじゃない?それは羨ましいな。新人研修で一緒になったみんな元気かな」
ユーウツそうな俺を励まそうとしてくれてるのか、りんりんが明るい声でそんな事を言ってきた。
まー確かにそれはあるね。遠い店に配属された同期の仲間とはラインやメールぐらいでしか連絡とってなかったし。ちょっとした同窓会気分かも。
なんて自分を慰めてみたけれど。
「じゃありんも研修受けなよ。みんなに会えるよ~」
そう笑って言った胡桃の言葉に
「いやいやいやいや。それはそれ、これはこれ」
プルプルと首を振って真顔で拒否したりんりんを見ながら、やっぱあんま慰めにならねーやと、苦笑いを零した。