イージーラブじゃ愛せない
「ジョージって上手いよね」
背を向けゴムを外してる俺の後ろで、胡桃がぼんやりと天井を眺めながら呟いた。
“上手い”ってきっと一般的には褒め言葉なんだろうけど。でもなんか胡桃が言うとちょっと違う気がしちゃう。
「上手いんじゃないの。胡桃と俺の相性がいいだけ」
でしょ?だって俺は胡桃を喜ばせたくて一生懸命やってるんだもん。やっぱ愛があるからだと思うんだけどなあ。
そんな俺の言葉に対する胡桃の返事は
「はははっ」
そんな、気持ちの見えない乾いた笑い声だけだった。
まあね。セックスが好きなのは否定しないよ。今までもいっぱいしてきたし。
でも今は“胡桃とするから”好きだって思ってるんだけどなあマジで。
だからさ。
6月になって毎年恒例のメーカー派遣の子が催事部門に来てさ、それが去年も来た女の子で。そんでもって。
「ジョージくん、久しぶりー」
「おー。茜ちゃん元気だった~?」
その須藤茜(すどう あかね)ちゃんが、何度も肌を重ねた事のある過去のイージーラブのお相手だったとしても。
別に今更なんとも思わないし、なんも問題ないっしょ。ってのが俺の自論です。