イージーラブじゃ愛せない
私なんかのために怒ってくれるりんには感謝する。本当にいい友達だよ、大好き。
でもその意見には否定させてもらうよ。
「だから、あれがジョージのフツーなんだってば。友達になら誰にだって優しいでしょ。それに私、アイツと付き合ってないから」
「…………柴木ちゃん……」
何かゴニャゴニャと言いたげなりんの顔に、鏡越しに微笑みかけると私は
「気遣ってくれてありがとね。でも、りんがそんな顔する必要ないよ。さ、そろそろ仕事戻ろう」
そう言ってコスメポーチを閉じ、大きく伸びをした。
「……でも私だったらイヤだな。もし優吾が元カノと目の前で仲良くしてたら、やっぱりモヤモヤすると思う」
洗面所から出て私の後ろを歩きながら、りんがまだ納得いかなさそうに呟いている。
「元カノでも友達になっちゃえば関係ないんだってさ。それに、ジョージが分け隔てなく友達に優しいのって、アイツの数少ないイイとこだと思うし」
りんの方を振り向かないまま淡々とそう返した私に
「柴木ちゃん。それ、本音?」
後ろから投げかけられた問いは、真っ直ぐでどこか厳しくて。
『当たり前じゃん』
って言おうとした返事は、口から上手に出てこなかった。