イージーラブじゃ愛せない


「なんでりんが謝る必要があるのよ。それよりさ、私が独り暮らし始めたら遊びに来てよね。風間くんの所ばっかじゃなく、うちにも泊まりに来てよ」

「行く行く!もうマイ枕持ち込んで何泊でもしちゃうから!」


たわいもない提案に、りんがパァッと顔を輝かせ一生懸命に首を縦に振る。

本当に私はりんと友達で良かった。面倒で憂鬱な独り暮らしも、彼女とのこんな約束があればずっと気持ちが前向きになれる。


やっとなれた笑顔で、さっきとは違った気持ちで情報誌を捲っていると。


「あれー。胡桃何読んでんの?」


休憩に入ってきたジョージが、手に日替わり定食のトレーを持ってこちらへやって来た。


「おつかれ、今から休憩?」

「うん、契約入って遅くなっちった。んで、何?賃貸住宅情報誌?胡桃引っ越すの?」

「まあね」


あっさりと返した私の言葉に、返事をしたのはジョージではなく

「引越し大変ですよね。あ、でも、独り暮らしは羨ましいな」

パスタセットのトレーを持ってジョージの隣に立つ須藤さんだった。

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