イージーラブじゃ愛せない
●恋愛カタストロフィ●
●恋愛カタストロフィ●
「柴木ちゃん引っ越すんだって?」
催事コーナーに飾るレイアウト用のシェルフをデスク部門に取りに来た俺に、優吾が軍手を填めながらふいに聞いてきた。
「あ、りんりんに聞いた?そーなんだよ。結構急みたいでさ~。っせーの」
ふたりで重たいタモのシェルフを息を合わせて持ち上げ、台車の上に乗せる。偏らず中央に置けた事を確認してから、俺は優吾を振り返って改めて言葉を返した。
「来週の休み一緒に取れたから不動産屋付き合おうと思って。茜ちゃんが親戚の仲介屋紹介してくれてさ~」
「うん、りんかに聞いた。3人で行くんでしょ?」
「そー。不動産屋に知り合いがいるって助かるよね~。いい部屋見せてくれるってさ」
「…………ふーん」
何か言いたげな優吾の視線が俺を見る。どちらかと云うと、あまり良い感情を含んでいなさそうな視線が。
「何?気になるじゃん~ちゃんと言ってよ~」
「僕が柴木ちゃんの立場だったら嫌だろうなあと思って」
予想していなかった男友達の言葉に、俺はパチクリと不思議そうに瞬きしてしまった。