イージーラブじゃ愛せない
「え、何が?なんで?物件探すのって大変だから手伝ってくれる人がいるのって嬉しくね?」
なんでだろ。優吾の言ってる事が本気で俺よく分かんない。
実際俺、大学進学と就職の時に2回引越し経験してるけど、物件探すの超ー面倒くさかったよ?あんま良くない不動産屋に当たっちゃってさ。ろくな物件紹介してくんなくて苦労したした。
ましてや胡桃は女の子なんだからさ。治安が悪い所とか、隣が変な住人の部屋とか紹介されたら大変じゃん。
胡桃のこと心配だから協力したいって思ってるんだけど、俺、何かおかしい?
「手伝うのはいいと思うけど、なんで須藤さんなの」
「あー……茜ちゃんね。元カノって事でしょ?だって俺も茜ちゃんも気にしてねーもん。胡桃にも『妬く?』って聞いたけど『自惚れんな』ってチョップされたし」
3人が3人とも納得して何もやましくない関係なんだから、気にする方がなんか変じゃね?優吾もりんりんも考えすぎだよ。
「…………柴木ちゃんの引越しの理由知ってる?」
「え?」
「本当はもっとジョージに頼り――」
優吾がやけに神妙な顔つきで話し出したとき。
「高倉ー!油売ってないでさっさと戻れー!」
「うわ、やべ!」
通路から俺をみつけた鬼リーダーの星野さんに大声で呼ばれてしまった。あの人、高校の生活指導みたいだな。
「わるい優吾、また後でね」
俺は優吾に背を向けると、急いで重たい台車をえっちらおっちらと運んで行った。