イージーラブじゃ愛せない
「ちょっと、胡桃~。そんな言い方なくね?茜ちゃんは胡桃のこと心配して言ってくれてんじゃん」
胡桃の言い方がキツイの、俺なんかは馴れてるから全然平気だけどさ。でも、茜ちゃんはそうじゃないんだし。何より親切で言ってくれてる相手に今のは無いんじゃないかなって思う。子供じゃないんだからさ。
「茜ちゃんゴメンね。胡桃、ちょっち言い方キツイからさ。悪気はないんだ、許してあげて」
「あの、私は別にそんな……。こちらこそ、しつこくおせっかい焼いてしまってごめんなさい」
全然悪くないのにペコリと頭を下げる茜ちゃん。なんだか俺の方が申しワケ無い気分になるよ。
一方の胡桃は……しばらく口を噤んだままどこか冷めた表情をしていたけど。
「こっちこそゴメン。ちょっと疲れちゃってて、言い方キツくなった。ごめんなさい」
ニコリと口角を上げて微笑むと、茜ちゃんに向かって素直に頭を下げた。
それを見て、密かにホッと胸を撫で下ろすも。胡桃はその微笑を顔に貼り付けたままゆっくり椅子から立ち上がると、もう1度深々と頭を下げて俺達を驚かせる。
「それからもうひとつ、ごめんなさい。今日の話は無かった事にして。せっかく協力してくれたのにごめんなさい。須藤さんの叔父さんには後日改めてお詫びします」
「…………は?」