イージーラブじゃ愛せない
「胡桃?」
……また怒った?んもー何なの。
呆れつつも止まってしまった胡桃の腕を掴んで
「ほら、行こ。突っ立ってたら熱中症になっちゃうよ」
そう促したけれど。
「行かない」
胡桃は今度はキッパリとそう言い切って、俺の手を振りほどいた。
「あーもー、なんなんだよ?」
「行かない。もうあんたの所には、二度といかない」
長い睫毛の瞳で俺をキツく睨みながら、胡桃は言った。『二度と行かない』と。
「……二度とって、どういう意味?」
「もうジョージとは寝ない。部屋にもいかない」
「…………何言ってんの」
胡桃が綺麗な形した唇から躊躇いも無く吐き出したそれの意味は、俺にとって信じたくないもので。
つまりそれは。
「……別れるって……こと?」