イージーラブじゃ愛せない
○傷心ワンダリング○

○傷心ワンダリング○



うだるような暑さの不快な物件探しを中止してから4時間後。私は名前も知らない男とセックスをしていた。


「あっ、あっ、そこ……もっと」

「おねーさん積極的だね。俺、もう出そうなんだけど」


駅前でボケッとしてたら声を掛けてきた男の子。多分年下。カラオケおごってくれたからお礼にいいよ、って事でホテルIN。

病気持ちだったりヤバイ奴だったりしたら嫌だなーとは思ったけど、ちゃんとゴムも着けてくれてるし、する前には『声かけといてなんだけど、いきなりいいの?』なんて一応気遣ってもくれたから、まあ大丈夫だろう。

でもあんま上手くない。

指では1回イカせてくれたけど、中では無理そうだ。私、中でイクのが好きなんだけどな。

そーいう意味ではジョージはほんと上手かったな。伊達にヤリまくってなかったって事か。


「帰るの面倒くさいな。休憩じゃなく泊まりにしていい?」


終わってからシャワーを浴びて戻ってきた男に、ベッドで寝そべったまま聞いてみた。


「俺は構わないよ。今、学校夏休みだからヒマだし。おねーさんは?社会人でしょ、明日仕事じゃないの?」


げげげ。年下だとは思ってたけど大学生だとは。

まだ学生の子供を、こんな爛れた夜に付き合せてしまって罪悪感が湧く。けれどそれでも。


「明日8時にここ出れば間に合うから。悪いけど朝まで付き合ってよ」


考えたくない事がある時には、ゆきずりのセックスが丁度いい。ひとりで居たってろくな思考になりゃしないから。


「いいよ。じゃ、とりあえずもう1回する?」


こうして年下の優しい男の子は、私のバカな夜にひと晩付き合ってくれて。

おかげで今夜は自分を嫌いになる時間を持たずに済んだ。
 
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