イージーラブじゃ愛せない
「辞めたくなかったのに」
それは本当に俺の本音だった。
柴木ちゃんとは一生友達でいたかった。だって、恋してるって認めちゃったらおっかないじゃん。
フラれたらそこで終わりじゃん。もう元の友達には絶対戻れないって。
そんなの、すげー恐いよ。こんな大切なひと失うかもなんて、考えたくない。
だから辞めたくなかったのに、これ以上は友達じゃ踏み込めないって言うから。
友達なら他の男にやすやすと取られるとこも見守れなんて言うから。
そんなの、しんど過ぎて俺にはムリです。
ねえ、柴木ちゃん。俺が今したキスってすんごい勇気籠もってたって分かった?
この俺が。友達辞めますって告げるの、足が震えるくらい覚悟して言ったんだって、伝わってる?てか、伝わって下さい頼むから。
「俺、柴木ちゃんのこと好きだからずっと友達でいたかった。関係変えるのすげー恐いと思ってる。でも」
――友達じゃ、ここで行き止まりだから。
そう呻くように口にしながら、俺は見た目よりずっと柔らかな柴木ちゃんの身体を抱きしめた。