イージーラブじゃ愛せない


「……っざけんなよ!!俺がいるのになんで他の男と寝るんだよ!」


バカじゃないの。朝の通勤途中の歩道で大声で言う事か。


ジョージは今までに見せた事の無い剣幕で怒っていたけれど、私の感情はピクリとも動かない。


「あんたとのセックスはもう飽きたって言ったじゃん。だから他の男と寝た。それの何が悪いの」


私の返答に、ジョージは一瞬険しい表情を見せる。

もしかして殴られる?と思ったけれど、そんな事はなくて。ジョージは唇を噛みしめると、私の肩を強く掴んだまま深くうなだれた。


「……俺が悪かったなら謝るから。だから……もう、そーいう事やめてよ……本当に」


苦しそうに吐き出した声は、泣いてる様にも聞こえた。


バッカみたい。ジョージにそんな事言う資格がどこにあんの?今まで数え切れないほど女の子を抱いてきたくせに。これからだって、どうせ沢山抱くくせに。


「あんたにそんな事言う権利ない」

「ある。俺、絶対誰より胡桃のことが大切なんだから」

「うそつき」


うなだれたジョージの顔を見ないまま、私は肩に置かれた手をはがして背を向ける。


「私のこと何も知らないくせに大切とか言うな」


知ったかぶってイイ人面した昨日のジョージを思い出して、忘れかけてた感情が蘇る。


ムカつく。ジョージも、最後まで甘えた期待を胸の隅に留めてしまっていた自分も。うんざりだ。
 
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