イージーラブじゃ愛せない



「お前は男を怒らせる天才だな」


午前の業務中。新規商品のプライスプレートを作っていた私に、成瀬先輩が後ろから小さく声を掛けてきた。


「何のことですか」

「朝の歩道であんだけ派手に言い争ってりゃな。興味なくても何事かと思うよな」


本当に今日はウンザリする1日だ。ジョージのやつめ、恥かかせおって。成瀬先輩も見て見ぬフリぐらいしろっつーの。


「高倉ってチャラくて嫌いだったけど、さすがに同情するよ。好きだった女が誰とでも寝るって知ったときの腹立だしさは俺も経験あるし」


……なんなの。今さら、何ヶ月も前の事を責めようっての?さすがにそれはネチっこすぎて引くぞ。


「何が言いたいんですか」


半ば呆れながら冷ややかに聞けば。


「高倉と別れて相手がいないんだろ?俺が寝てやろうか?」


成瀬先輩は薄い唇を片側だけ持ち上げながら、そんな舐めくさった事を言ってきた。
 
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