イージーラブじゃ愛せない
胡桃は嫌がらない。黙って俺のキスを受け入れてる。
だから、止まらなくなった俺は調子に乗る。キスを覚えたての子供みたいにがむしゃらに胡桃の唇に貪りついて、あげくには抱きしめたまま首筋にまで吸い付いた。
さすがに、胡桃の身体がビクッと反応する。やばい、その反応。めっちゃ煽られた。
「アホ、止めて。人に見られる」
しつこく首筋にキスをする俺の背中を、胡桃がワイシャツを引っ張って引き剥がそうとする。
「見らんなきゃいいの?」
耳の下をペロリと舐めながら調子付いた事を尋ねると、少し間が空いてから胡桃は眠たそうな声で
「まあ、いいよ」
と、おざなりに答えた。
歩いて10分の俺のアパートまでの道のりの長かったこと。
走ろうとしたら「がっつくな」って胡桃にチョップされるし。
まさかこんな展開になるなんて思ってもいなかったから散らかったまんまの俺の部屋を見たとき胡桃は
「……あんた、よくこんな部屋に私を連れ込もうと思ったわね」
と、冷ややか~な眼差しを俺に送った。