イージーラブじゃ愛せない



10月の初頭。業務中に事務所に呼び出された私とジョージと風間くんは、揃って『リーダー昇進試験(1)合格通知』なるものを受け取った。


「あー本っ当に良かったー!俺、マジで今回ムリかと思ったもん~!」


研修初日に居眠りをかまして絶望してたジョージは、無事合格の封筒を手に出来た事に本気で安堵している。


「面接のとき土下座したの?」

「したした!『居眠りしてゴメンなさーい!』って、床にゴリゴリ額擦り付けたね」

「うわープライド無い」


3人で笑いながらそんな会話をし、とりえずは揃って合格した事を喜び合う。


「じゃー今日は【もぎり】で乾杯かな」

「だーね。優吾、りんりんも誘っといてよ」

「うん、もちろん」


そして、私たちは笑い合ってお酒が飲める位には元の友達に戻っていた。ただし、4人でなら、だけど。

あれから2ヶ月が過ぎて、ようやく笑顔で挨拶が交わせてみんな一緒ならご飯やお酒も楽しめるようにはなったけれど。

ふたりきりと言うのはさすがにまだ無理で、私もジョージもお互いなんとなく避けてしまっている。

それでも、笑って一緒にご飯が食べられる友達を失わずに済んだ事は良かったと。私は密かに胸を撫で下ろしていた。
 
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