イージーラブじゃ愛せない
●冬空レゾリューション●
●冬空レゾリュ―ション●
11月になって朝晩はずいぶんと冷え込むようになった。
仕事から帰って部屋に暖房を入れるとき、いつも思い出すのは胡桃のことばっかだ。
寒いのが苦手なくせにいつも薄着で。一緒にこのアパートに帰ってくると『あんたの部屋寒い』って文句言いながら、部屋があったまるまで俺にくっついてたっけ。
そんな事を思い出しながらコートをハンガーに掛けていた俺の頭に、ふとある思いが過る。
胡桃から俺に抱きついて来るときはいつも『寒い』って言ってたなあ、って。
冬はもちろん、秋でも春でも、6月でさえ『冷房が効きすぎて寒い』なんて。
胡桃は寒がりだよ、うん。
でもさ、それって全部本音だったのかなって、今さら気付く。
『ほら、寒いんだからもっとくっついてよ』
そう言って胡桃はすぐ俺の胸に顔を埋ずめちゃってたけど、どんな表情をしてたんだろ。
もしかしたらそれが意地っ張りな胡桃の『好き』や『抱きしめて』だったかもしれない、なんて。
1年も経ってから気付いた俺はどんだけマヌケなんだよ。