イージーラブじゃ愛せない



そんな、ひとりで迎える冬も年の瀬を迎え。


『チャラチャラ遊んでばっかりいないで、たまには帰って来い。親不孝が』


年末に珍しく親父から厳しくも愛情溢れる電話が掛かってきた。

そーいえば最近実家帰ってなかったっけ、なんて実に親不幸な事を思い出す。前回帰ったのって、えーっと、一昨年の夏休みか?

自分の事に夢中で家族のこと放っぽらかしだったな。反省。


「分かった。大晦日の夜に帰って一泊してく」


日本総合インテリアは元旦はお休み。大晦日はいつもより早い18時閉店だから、仕事終わってから向かっても埼玉の実家まで余裕でしょ。


一昨年はいつもの4人で、去年は胡桃とふたりで過ごした年越しも、今年はひとりぼっちの予定だ。だったらたまには家族サービスして親不孝返上するのも悪くないし。


そうして俺は大晦日の夜、親父の好きな日本酒を手土産に、両親と兄の待つ隣県の実家へと車を走らせた。
 
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