イージーラブじゃ愛せない


新しいビールが運ばれてきてテーブルに置かれるのを待ってから、今度は風間くんから喋り出す。


「分かるよ。りんかもジョージも強いなっていつも思う。でも、りんかは僕が口に出せない気持ちも全部受けとめてくれるから、すごく安心する。しぐさとか視線とか、僕の伝えたいこと上手に受けてとめて……だから僕、りんかを好きになったんだ」

「分かる。私もりんのそういう所好き」


今度は風間くんのノロケに便乗して、肩を竦めクスリと笑った。すると、それを聞いた風間くんはフフッと噴き出し、口元に手を当ててクツクツと笑い出す。


「逆にジョージは下手だよね、そういうの。結構鈍感」

「え?」

「素直すぎるって言うか、言葉で伝えなきゃ分かんないって言うか。僕から見たら柴木ちゃんって何考えてるか凄く分かり易いのに、ジョージ全然分かってなくて。なんか柴木ちゃん気の毒だなーって」


可笑しそうに笑いながら言う風間くんの話に、私はポカンとマヌケな表情を浮かべてしまった。


「私、分かりやすい?」

「かなりね。笑ってても不機嫌オーラ出てたり、ジョージを突っぱねながら凄く甘えてたり、分かりやすかったよ。りんかも気付いてたと思う。分かってないのはジョージ本人だけだよ」


えー。なんだそれ。今まで全っ然知らなかった自分の一面に、羞恥で顔から火が出そうになる。
 
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