イージーラブじゃ愛せない


「別に……ジョージに分かって欲しかった訳じゃないし。てか、ジョージはただの友達だし、別にそこまで分かってもらわなくてもいいって言うか」

「でも、伝えた気持ちには全力で向き合おうとするよ。ジョージは」


赤い顔を隠すようにビールを煽って言った私に、風間くんは笑うのをやめて静かでハッキリとした声で告げた。


「ジョージは鈍感で馬鹿だけどさ、でも伝えた気持ちにはちゃんと向き合ってくれる。すごくイイ奴だよ。僕、アイツのそういう所すごく好きだよ」


言葉を失ってしまった私に、風間くんは穏やかに微笑んで続ける。


「臆病な僕が言うのもなんだけどさ、伝えてみたら?柴木ちゃんが抱えてるもの全部。きっとジョージは受けとめてくれるよ」

「……今さら、そんな」

「まだ好きなんでしょ?ジョージのこと」


咄嗟に『んな馬鹿な』って言い返そうとしたけれど、態度が丸分かりだと言われてしまった後では繕っても仕方ない。

目を逸らしながら小さくコクリと頷くと、風間くんは「良かった」と言って目を細めた。そして。


「今日ね、僕が柴木ちゃんを呼んだ理由はもうひとつ。このおせっかいが焼きたくて」

「え?」

目をしばたいた私に、風間くんは人差し指を自分の唇に当てると声のトーンを落として言った。


「春の移動には僕が白羽の矢が当たったけど、来年度はもう1回辞令があるらしいんだ。7月に福井に出来る新店舗。4月に辞令が出る。多分……ジョージがそこに移動になる」

 
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