イージーラブじゃ愛せない
――ジョージに気持ちを伝えるのにはタイムリミットがあって、それは後たったの半年だと。このチャンスを逃しちゃ駄目だと、風間くんは教えてくれた。
【もぎり】を出て扇ぐ真冬の夜空。澄んだ空には冬の星座が煌いていた。
「遅くまでつき合わせちゃってごめん。でも、色々吐き出せて気持ちが楽になったよ」
「りんには今夜言うの?」
「ううん。次の休みかな。もうちょっとお腹に力入れられるようになってから。りんかがどんなに泣いても、つられて泣かないようにね」
頼れる男子の裏方を見ても、なおもそれがカッコいいなと私は夜空を見上げる男友達を見てしみじみ思った。
「私に出来る事があったら、またいつでも言ってよ。りんを支えるためなら協力は惜しまないから」
「あはは、ありがたいけど、僕じゃなくりんかの為なんだ」
「まーね。私、りんのこと大好きなんだよね。多分、自分が男だったらりんに惚れてたな」
「あー、そうだろうね。僕ら似てるもん。僕が女だったらジョージを好きになってただろうし」
「えっ、マジで」
ちょっと意外だった答えに目を丸くすると、風間くんは可笑しそうに声をたてて笑い出した。
それにつられて私もケラケラと笑い出す。
ふたり、しばらく澄んだ星空の下で笑い声を木霊させ、そしてそれが止んだとき。
「柴木ちゃんが女友達で良かった。ありがとう」
風間くんが優しい目を細めながら私に大きな手を差し出してきた。
「私も。風間くんが男友達で良かった。ありがと」
彼の手を握り返し、しっかりと想いを籠める。
3年越しの友人。3ヵ月後には遠くへ行ってしまう私の大切な男友達。
ありがとう。
離れても私たち、友達だよ。