イージーラブじゃ愛せない
「あーもーストップ。柴木ちゃん、ストーップ」
一気に反応してしまった身体に気付かれないように、俺は胡桃の肩に手を置くと無理矢理引き剥がして距離を置く。
「そーじゃないって。どんだけ即物的なんだよ柴木ちゃん」
必死に冷静に話をしようとしてるのに
「何が違うの?勃ってんじゃん」
おそろしく的確で鋭いツッコミを入れられ、俺は否応なしに後ろを向く。何これ情けない。
「いや、したいよ?したいのは山々だけどさ。今日は真面目に話がしたいの」
俺の返答に胡桃は『めんどくさい』を詰め込んだ溜息を吐き捨てると
「話なんか……しなくっていいじゃん」
小さな声で独り言のように呟いた。
部屋へ戻って行き、再びクッションに腰を降ろして膝を抱える胡桃。俺も沸いた湯であったかいコーヒーと紅茶を淹れると、それを持って隣に座った。