イージーラブじゃ愛せない
○意地っ張りグラデュエーション○
○意地っ張りグラデュエーション○
生まれてこのかた誰かに執着する事なんて無かった。他人はもちろん、自分にも。
なので、わりと困ってしまっている。1年前に『ふつーの友達』に戻ってからと云うもの、事あるごとにジョージの事ばかり考えてしまう自分に。
『ただの親友』に戻った筈なのに、肝心の自分の気持ちが全然戻れてなくて。いつの間にか『側に居てくれなきゃ嫌な存在』になっちゃってんの。腹立つ。
ぼちぼち自分に掛けてた『親友』って言葉の魔法も効かなくなってきた所で、ジョージの辞令話が持ち上がったりするもんだから、本当もうお手上げだわ。
それでも、友達が背中を押してくれたから、ほんの少し素直になってみたってのに。ジョージのやつめ、すげなく断りおって。
おまけにますます離れ難くなる事なんか言われてさ、なんなんだっての。
どうせ離れちゃうのに。だったらせめて身体重ねて温もりぐらい置き土産にしてけばいいのに。
残される寂しい気持ちはだんだん手に負えなくなって、けれど未来を変えられるワケ無いんだから飲み込むしかなくって。もどかしい想いだけが私の中で降り積もっていく。
ああもう。どうすりゃいいの、こんなの。
その答えは考えたって出なくて、胸が詰まるような焦りを抱えたまま時間は無情に過ぎ去って――最後の夏がやってくる。
6月29日。
ジョージがこの街を発つ日は一足早い真夏日で、いつかの泣きたかった夏の日を思い出させた。