イージーラブじゃ愛せない



しかし。

成瀬先輩とのやりとりで面倒くさい自分の気持ちに気付いてしまった私は非常に困ってしまっていた。


「ジョージへの餞別、やっぱ個性的なネクタイがいいかなあ。福井に行っても変なネクタイコレクション続けて欲しいし、ネクタイなら新幹線の移動でも荷物にならないもんね。あっ、でもメチャクチャ嵩張るモノ持たせるのも面白いね!布団とか壷とか!……って、柴木ちゃん聞いてるー?」


何かふたりで餞別を贈ろうと、ジョージを見送りに行く前に私とりんは早めの時間に待ち合わせをしてショッピングモールへと来ていた。

なのに。りんは一生懸命あれこれと売り場を見ているというのに、私と来たら考え事が頭から抜けずボケーっとしている。


「……ねえ、りん」

「ん?どしたどした?」

「やっぱ私、行かないでいいかな」

「はあっ!!?」


りんは手にしていた壷をうっかり落としそうになるほど驚いてたけれど。だって仕方がない。私の中でどーにも面倒な気持ちに整理がつかないんだもん。


親友としてお別れしたい。今更あがいたってどーしょもない。けれど。
ジョージと寝たい。ジョージじゃなきゃ嫌だ。側に居てくれなきゃ嫌だ。もう他の男じゃ嫌だ。


どうすんの、こんな矛盾した気持ち。今から数時間後にはあいつ、福井に行っちゃうってーのに。

こんな気持ち抱えてどんな顔して会えって言うの。どうやって「さよなら」なんて手を振ったらいいの。
 
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